
宮っ子なら、言わずと知れた甲山にある「お大師さん」。麓の甲陽園の方からは、大師道が続く。甲山の中腹に位置する神呪寺は海抜約200メートル。ここからは遠く生駒の山並み、広がる大阪平野、そして阪神間一帯が一望できる。
神呪寺(かんのうじ)は、神の寺(かんのじ)から転じたらしい。本堂が落慶した天長八年(831年)から、1170年が過ぎている。栄枯盛衰を繰り返したお寺は、戦火にも遭い、現在の本堂は江戸時代のもの。
それにしても、この圧倒的なロケーションはすぐ下が喧騒の世界だと言うことを忘れさせてくれる。こういう風景を見ていると、本当に西宮に住むことの豊かさを感じる。
5月18日は融通さん。日本三如意輪と言われている融通観音をご開帳「うちのご本尊さんをぜひご覧になってください。普通の中性的なお顔ではなく、女性のお姿をされています。」若いご住職が力を込めて語る。
ご開帳は、毎年5月18日。朝6:00から夕方の18:00まで(入場は17:30まで)拝見することができる。例年、朝の6:00前から大勢の人が境内で待ってくださるそうだ。出勤前に、必ず拝んでいかれる方も少なくないと言う。
室生寺・観心寺の観音さまとともに、日本三如意輪と言われる。弘法大師が桜の木に刻まれたという秘仏。「融通とは、心の巾です。すべてこの世は回っていくべきものなのです。留まっていてはいけません。」とは、ご住職のお言葉。今年は、私もぜひ行って対面して来よう。
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除夜の鐘と、初日の出
大晦日には除夜の鐘を撞き、初日の出を拝む参拝客が訪れる ここ神呪寺では、ご住職が最初についた後、運がよければ一般の方も除夜の鐘が撞ける。神呪寺の百八会(ひゃくはちかい)の会員の方々が優先だが、毎年運のいい一般の方が除夜の鐘を撞くという幸運にありつける。冷気を切り裂いて、眼下の街の明かりに届け・・・と撞く鐘は、きっと忘れられない思い出だろう。
「このお寺の一番のお勧めは??」と問うと、ためらわずに「初日の出でしょう。」とご住職。新年の行事の準備で、最近はなかなかゆっくり見れない・・・と少し寂しそう。みんなで、一心に初日の出を待ち、きれいな日の出を拝むとその年一年はいい事があるような気になるそうだ。「今年は、いい日の出でしたね・・・」
仏との縁(えにし)・・・・
春は桜、秋は紅葉がいい。そしてピンと張った冷気の冬は、遠く生駒山までよく見える。大阪空港の飛行機の発着をぼんやり見ていると心がリセットされるような気がする。美しい風景を満喫し、境内の清々しい空気を胸いっぱいに吸うと、きっと自然に体の余分な力が抜けるのだろう。「山門をくぐって、仏との縁を結んでください。」ご住職の言葉を思い出しながら、石段を降りた。


美しい眺望を求めて多くの人が訪れるが、最近お参りに来る人のマナーが悪くなっているのが気になるとのこと。「箍(たが)が緩んでいる・・・というより、箍(たが)が無いのでは・・・」と思う事もあると、ご住職がため息をつく。
「この世の魂の数は同じ。人口が増えれば、絶滅する種もある。幸せの数も同じ。一人が取り込みすぎると、どこかで不幸な人を作る。」とうかがった。人のことを思いやる気持ちが大切。きれいな景色を楽しむなら、マナーを守って、迷惑をかけない美しい心でいたいものだ。
神呪寺のホームページ
(取材:O K)
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